真っ黒こげ太郎

ファイティング・アルティメイタムの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

3.6
「大量の敵に 弾を撃ち込まれ――」
「ミンチみたいに その場に倒れふす以上に」
「見事な死に方があるだろうか?」

「選べるなら、俺は選ぶ。」


…確かに、この上ない見事な死に様。
俺もそういう威風堂々とした人生の最後を遂げたいぜ!!!

…でもなぁ。



とあるマフィアが牛耳る小さな田舎町。
その町で夜な夜な経営される地下賭博デスマッチで5年無敗を誇る男、エル・ヤンキー。

彼は稼いだファイトマネーを教会に寄付し、戦わないときは慈善活動を行う善人だが、かつて頭に受けた銃弾が元で記憶を失っていた。
フラッシュバックする記憶の中に現れる血塗られた過去と自信と愛し合うマリアンという名の謎の女。
しかし、エル・ヤンキーはかつての過去と自分の本性を恐れる余り、今の生活をズルズルと続けてしまう。

しかしある日、遂に記憶の中に現れる女性を目撃する!!
彼に秘められた過去の秘密とは…。



記憶を無くした男の過去が明らかにされてゆく、格闘アクション映画。

近年コンスタンスに格闘アクション映画を出し続ける、ジェシー・V・ジョンソンさん(この頃は”ジェシー・ジョンソン”名義だった)の初期の作品。
主演のドミニク・ヴァンデンバーグさんは初めて見ましたが、とある映画レビューサイトによるとドミニクさんはフランス外人部隊出身(!?)で、ビルマでムエタイをやっていた、との事。
…スゲェ経歴だ。
(後、メジャーになる前のスコット・アドキンスさんが脇役で出演してるが、アクションには絡まないので期待しないでね。)

そんなドミニクさんはシッカリ動けるし、ムエタイをベースにした(と思う)アクションもキレがある、演技もしっかりこなしている。
回し蹴り、肘撃ち、関節技等、どれも良い感じの動き。

でも、肝心のアクションの取り方が残念すぎるんだよなぁ…。
編集でカット割りまくりで見ずらいし、映し方が悪いので動きもスローに見えてしまう。おまけに意味なくスローを多用しまくる所為で更に迫力が削がれてしまっていた。
2回目のデスマッチなんかは相手側の動きが良く中々悪くないし、要所要所でブルータルな描写も挟んではいるのだが、如何せん撮り方が悪すぎる。
(でも解放骨折したり、眼球がはみ出る必然性皆無なグロ描写は良かったw)

近年のジェシーさんの格闘アクション作品は良く出来た出来なのだが、この頃はまだ垢抜けてなかったのかな…。


お話の内容は主人公とその親友のマネージャーの友情ドラマと、その周囲の人のドラマ等がメイン。
そのドラマ自体は悪くないし、主人公とマネージャーの友情描写も何か良かったんだけど、如何せんその場面では格闘が少なくなっちまうのが残念だった。

しかし、主人公が過去の女性と土壇場で再会し、主人公の過去が少しずつ明らかになってゆくパートは面白くなっていった。
そして主人公が過去を清算するための戦いに赴くクライマックスの銃撃戦はド派手で盛り上がるぞ!!!
(ジャケ程の規模じゃないが、爆破シーンもある。)
ラストの大立ち回りはリアリティに欠けるが、やたらケレン味溢れるドンパチ描写になっていて見ごたえありだ!!!
正直、最初からこの位のアクションやってくりゃ良かったのに…。
(予算が無かったんだろうけど。)


そんなこんなで、評判は悪いけど俺は中々楽しめた。
でも、やっぱり肝心の肉弾戦はどうにも上手く描けてないので、あんまりオススメは出来ないか。
ネット上の評判もあまりよくないが、それもしょうがないかな…。
でも、クライマックスのドンパチとか、観る所はあるので、ジェシーさんのファン(戸口せめぇ!w)はあんま期待しないでどうぞ。


なお、ドミニク・ヴァンデンバーグはジェシー・V・ジョンソンさん作品では常連になったみたいで、後の作品にも何本か脇役で出演し、「トリプル・スレット」にも出演!
最近でもジェシーさんの新作で主演を張ったみたい。

最近主演を張った新作も気になるので、そちらも観ようと思いまする。
少なくとも今作よりは肉弾戦がマシになってるといいなぁ…。w