囚人13号

脱獄者の秘密の囚人13号のレビュー・感想・評価

脱獄者の秘密(1951年製作の映画)
4.3
傑作!冒頭の西部劇とは思えないような猛吹雪のなか山を越えていく脱獄囚たち、凍死した仲間を埋葬するにも地面が固まってしまい掘り起こせないため、横たわった死体が傾斜を転がり次第に遠ざかっていく異様さで幕を開ける。

脱獄者と村に残った女をたちという歪な関係は銃によって抑制され、丸腰の男たちと直接的な攻撃手段ではなくあくまで女性の保身としてのそれは距離を適切に保ち均衡させる道具であるのだが、80分という尺で心身ともに距離を縮める方法は的確この上ないし、殺害方法が西部劇とは思えなかった。

クライマックスの銃撃戦でやはり監督の腕は平均以下なのだとわかったが、映画は何か一つ定石から逸脱したり異質な方向へ転がれば大成功で、本当に傑作はどこからでも生まれるんだなと。
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