グラビティボルト

ゴングなき戦いのグラビティボルトのレビュー・感想・評価

ゴングなき戦い(1972年製作の映画)
4.6
リングに上がっている場面よりもバーカウンターや丸テーブルでボクサーが項垂れているショットの方が多いズタズタ男達のニューシネマ。
勝っても負けても失った時間は返ってこない。
「人生を変える瞬間」は1フレームもないけど、ラストの主人公が「己の限界を悟る」ストップモーションが観る者の頭にこびり着く傑作。  
ステイシー・キーチを見かけて絡まれるからと慌てて車のエンジンを掛けるジェフ・ブリッジスとか心底いたたまれないんだけど、どのシーンも争いが盛り上がらない消化不良感が徹底している。
力任せに当たり散らすことも出来ず、ギラギラし続けることも出来ない。