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ゴングなき戦いのmareのレビュー・感想・評価

ゴングなき戦い(1972年製作の映画)
4.0
ボクシングの勝敗と人生そのものの勝敗の浮かび上がってくる対比が哀愁を纏ったアメリカンニューシネマと完璧にマッチする。総じてブルージーな雰囲気が全体を占めており、男の弱さに誠実に向き合って、思うように運ばない人生の歯車が軋むような物音を立てる。かつての栄光に執着することは己の自信と生き方を繋ぎ止めるために必要なプライドであり、才能溢れる未来とは心のどこかで成功を渇望している若さ特有のがむしゃらな精神性だろう。人生とは起伏の繰り返しであり、若い頃の成功が打ち立てた経験というのは自らの生き方の資本になるものだとあらためて身に沁みる。そのまま上手く軌道に乗る人もいれば、老いて枯れていってしまう人もいる。
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