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ゴングなき戦いの堊のレビュー・感想・評価

ゴングなき戦い(1972年製作の映画)
3.6
あんな酒焼けしたザ・昭和煤けた女が出てきて、これまた絶妙な演技するなんて。カウンターの会話が全部絶妙でシブすぎる映画。会話をしたことがない人じゃないと演出できない脚本。「彼らは信用できないよ」→「ここではただ一人まともだよ」って絶妙な噛み合わなさがずっと続く。そんなことを思うのも動くジョン・ヒューストンをウェルズの『風の向こうへ』でしつこいぐらい見せられたから?ジョン・ヒューストン、すげー好きだな。
ラストはニューシネマな感じ。何かをはじめるには遅くないと言い続け、観た人を資本に動員し続けさせようとする映画が是とされる世の中で「何かをはじめるにはあまりにも遅すぎ、全てを諦めるにも早すぎる」ことだけを説くこの映画の存在は貴重。
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