ドン底から這い上がるボクシングドラマかと思ったら違った。負け犬たちの姿をひたすら描く。
落ちぶれた元プロボクサーと才能の片鱗を見せる素人若手ボクサー。
二人が偶然出会ったことにより奇跡が起こる…!?なんてことはなく。
元ボクサーのタリーはほんとにグダグダで酒浸り、仕事は日雇いのようなもの。たまーに体は動かしてるけど昔のキレなし。偶然会った男の子アーニーにボクサーの才能を見いだしたんだろうと思って見ていたが、これってアーニーに自分が失った栄光を重ねたかったんじゃなかろうか。
アーニーが素人から這い上がって栄光を掴む奇跡の物語ならドラマチックだけど、映画としてはよくあるパターン。
この映画はそんなことは描かなかった。
そんなにうまくもいかない、かといって死ぬほどドン底でもない、中途半端に負け犬人生を送りながら鬱憤を溜めたり、調子に乗って成功できると意気揚々として出鼻挫かれたり(文字通り鼻怪我するし)と、ある意味リアルな失敗人生を描いてるなーという感じ。
泥臭く向かっていっても、成功や復活を思い描いて頑張っても、結果はついてこないこともある。悪くいえば夢はないが超現実的。
二人のならんでコーヒーすすっちゃってる姿とか見ると、哀愁というよりも、「人生そんなこともあるさ、でも諦めることはない」なんていう言葉がしっくりくるかも。