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悪の神々のsonozyのレビュー・感想・評価

悪の神々(1970年製作の映画)
4.0
引き続きR.W.ファスビンダー監督の初期作。
ムショから出たイケメン男が、無気力モードで漂うノワールテイストな作品。

ムショから出たフランツ(ハリー・ベアー)を捉えるトラッキングショット、マルガレーテ(マルガレーテ・フォン・トロッタ)が営むカフェ、壁に埋め込んだスロット風ゲーム、ジュークボックスから流れる♪にのせて二人が無言でダンス&シンプルなクレジットが流れるまでのオープニングのカッコよさ。

フランツは「Lola Montez」という店でストリッパーをしている元カノのジョアンナ(ハンナ・シグラ)や、フランツの兄マリアンと再会。

マリアンの妻マグダレーナ(イングリット・カーフェン)や、ある事件を追ってジョアンナに近づく刑事も登場。
一番奇妙な役柄の女性カルラ(Carla Egerer)は、籐の小さなトランクケースにエロ本を入れていてそれを売ったり、何故か色々な情報を持っていてそれを売ったりしている。
全体的にノワールなテイストとカメラワークのカッコよさが味わえますが、ちょいちょい可笑しみシーンもあるのが楽しい。

フランツがジョアンナと離れマルガレータと過ごし、愛称ゴリラと呼ぶ仲間のギュンター(ギュンター・カウフマン)や、ジョーという郊外に夫婦で暮らす男と再会すると、再び犯罪を計画する・・・

この時代のハンナ・シグラは魅力的です。
それと、出たがりなのか(笑)ファスビンダー監督、本作もちょい役で登場します。

それから、ギュンター・カウフマン。このジャケ写が分かりにくいですが、右のシャツを脱ごうとしてる男です(左はフランツ)。
愛称通りゴリラ系のルックスの彼は、当時既婚でしたが、バイセクシュアルのファスビンダー監督のアプローチでラブな関係になったようで、この二人の関係を女性に置き換えたのが『ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972)』みたいですね。
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