継

ダウニング街の陰謀の継のレビュー・感想・評価

ダウニング街の陰謀(1985年製作の映画)
3.5
下院議員のスパイ疑惑をスクープした新聞記者マレン(バーン) 。だが、その裏ではスクープを隠れ蓑として巨大な権力が暗躍していた… 。

1985年、イギリス作品。
脚本は『さらば青春の光』のマーティン・スティルマン 。
報道の自由の名の下に真相へ迫る新聞記者が、核心へ近づくにつれて権力の壁に押し潰されそうになる、硬派なポリティカルサスペンス。

登場人物が多く、所属や役職が判然としない内に各々が登場して動き回るので、最初は状況把握が追い付かない。
記事の切り抜き、ニュースとその日付、一致する声、カメラの視点、監視、尾行、盗聴 etc...
様々な形で示される “ピース” を、繰り返し観る内に少しずつパズルとして当て嵌め、形作り、全容を思い描きながら組み立てて観るタイプ。

ニックの地道な調査取材に肉付けするように、
幾つかの出来事が偶発的に或いは意図的に交錯して、ちょっとした重層構造を持つストーリーに仕立てられているんだけれど、
筋に描かれない思惑や工作を脳内で補完しなければいけなくて、話が脚本にやや追い付いてない印象を受ける。加えて、所々で作りが粗くスケール感が乏しいのが、好きなタイプなだけに残念。
相討ち的に捻(ひね)ったクライマックスはテンポ良く締め括っただけに、余計に惜しいなと思ってしまうのだ。偉そうだけど。

美しい議員秘書ニーナの台詞は作り手がくれたヒント。
時折映るロンドンの街並みと発音、ツイードのジャケットが如何にも英国的で良い感じ。
不都合な事態が表沙汰にならない案件は現実に幾らでもあるんだろうなと、逆に思い知らされる作品でした。
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