佐藤でした

精神科医ヘンリー・カーターの憂欝の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

2.0
精神科医のヘンリー・カーターは、本の出版やテレビ出演もするハリウッドセレブ御用達の人気ドクター。しかし彼には、妻に自殺された出来事から無力感になり、酒やドラッグに頼るという退廃した日常があった。ある日、そんなヘンリーの元へ一人の女子高生が回されてくる。彼女が心に抱えていた闇もまた、ヘンリーと同じ悲しみだった…。

精神を病んだ精神科医を中心に、売れない役者、脚本が進まない脚本家、映画プロデューサー志望の秘書などなどの悲喜交々を描く群像劇。ですが、ケヴィン・スペイシーの凄みと渋みを味わう一品という感じ。

いつも清潔感のある切れ者のイメージでしたが、今作はどんどん小汚いオジサンに朽ちていきます。

この作品に限ったことではないのですが、つくづく俳優さんという職業は面白いなぁと思う。世間からハゲただの、太っただの言われても、次の作品では別人のように変貌していたりすることもしばし。
それが本当にハゲたのか意図的にハガしたのか、はたまたオフ中に植毛or育毛したのかは世間的にはわからないこと。
肌艶にしても、監督の好みやテイストによって、シワっぽく撮られたり綺麗に撮られたりする。
挽回の余地があるというか、そもそも実態がないというか。スクリーンの中だけに存在すると思しき人物たちは、それが仕事でお金を稼いでいるというのだから本当に面白い。

と、脱線もいいところだが、頬から喉仏まで汚いヒゲで覆われたケヴィン・スペイシーもなかなか見られないボソボソ感でこれまた良かったです。

しかしこの映画が持つ空気感みたいなものが苦手だった。「そうだね辛かったね」と相槌を打たざるを得ない、空気の押し売り。
日が昇る前の不確かな希望を感じさせる音楽 + 淡い色のぼやけた日常風景 + 人の影っぽい横顔 + 恍惚としたスロータイム = “いい感じ”の鬱々とした精神世界を、どうぞ汲み取ってください、てか。

うーん。大変だけど、みんなドラッグやらずに頑張ってるで。もうちょい頑張りや。と思った。
佐藤でした

佐藤でした