ヤマダタケシ

黒蜥蜴のヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

黒蜥蜴(1968年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

2020年11月21日 新文芸坐で

・とにかく黒蜥蜴を演じた美輪明宏の魅力が凄い。
・それまで孤高の怪盗だった黒蜥蜴が明智小五郎という探偵に恋をすることによって、自らの怪盗としてのアイデンティティを失いそうになる。身も心を明智に溺れてしまいたいという心と、黒蜥蜴としての自分を保とうとするふたつの自分が黒蜥蜴の中でぶつかり合う。
・その葛藤を、普通の人が口にしたら成立しないような、詩的なセリフでもって語る美輪明宏の、その実質モノローグな語りがとても美しい。
・作中で明智は黒蜥蜴と、ある意味コインの裏表、つまり相手がどう思考するかを考えすぎた結果、ほぼ同一の存在となっている。
・つまり明智は、誰からも理解されない黒蜥蜴の心情の唯一の理解者になっている。
・途中に出てくるはく製になった三島由紀夫がすごい。