OASIS

見わたすかぎり人生のOASISのレビュー・感想・評価

見わたすかぎり人生(2008年製作の映画)
3.6
就職難のイタリアで、大学を卒業したものの職に就けなかった女性が何とか住み込みのベビーシッターと電話オペレータという二つの仕事を見つけるという話。

非正規雇用者が大量に存在する企業の内部事情や、日本でも馴染みのあるワーキングプア問題を扱いながらもコメディタッチで見せていく映画。

主人公が勤務する事になる訪問販売の会社は、電話を片っ端からかけまくり食いついたカモに高額商品を売りつけるという悪徳会社。
だが、そこで働く人達は契約解除を恐れて誰も逆らう者は居ない。
毎朝自作の歌を唄わせたりダンスを踊らせてそれらしい事を言う女上司など、宗教染みた環境でもなんとか適応しようとする主人公は独自の営業方法で顧客を獲得する事に成功する。
たとえどんな仕事であってもそれを耐え抜いて日々を生き抜いていく糸口を見つけようとする彼女のタフネスさや抜け目なさは見習いたい所。
流石にあんな女上司は居ないよと思いつつも、朝礼で大声で社訓を読み上げたり今日の目標を一人ずつ発表させたり、何かしら会社独自の色を出そうとしてやる気が空回っている企業もあると聞くので皆無とは一概には言えない。

大学を卒業したにも関わらずマクドナルドのクルーになる事もあるアメリカや、コンビニの店員になってしまう日本など、優秀な成績をおさめたからといって必ずしも一流企業に入り込む事が出来るとは限らないのは何処の国でも同じらしい。
ただ、どん底まで落ちてもケ・セラ・セラ(なるようになるさ)の精神で次へ向かおうとする所はなんともイタリアらしくて良かった。
OASIS

OASIS