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見わたすかぎり人生の東京キネマのレビュー・感想・評価

見わたすかぎり人生(2008年製作の映画)
4.5
パオロ・ヴィルゼィは『人間の値打ち』から2本目の鑑賞なんですが、とても良いですね。巨匠というよりも現代版フェリーニです。カリカチュアライズしているんですけれども妙にリアルなんです。大好きだった昔のイタリア映画のエッセンスが残っていて嬉しくなります。最近、何本かイタリアのリアリティものの映画を見続けたせいもあるんですが、これだけ同じような設定になっているっていうことは、イタリア経済のリセッションは相当キツい状況になっているんだろうなあ、と想像します。でも、大体が主人公は正直に生きる、ってのがテーマになっていて、これでちょっと癒されるというパターンも同じです。

この映画もそうなんですが、金では何も解決しないんです。というより、ビジネス的に成功した人はみんな不幸になってゆくんです。だから、経済的に成功するってことだけに人生を賭けるのは損じゃない?、というあまりにも良くあるお話に帰結してしまうんですが、何故か激しく同意できる魅力があります。それぞれのシーンが異常にリアルだからってのもあるのかも知れませんが、それよりも脚本を練りに練っているからなんでしょうね。やっぱりホン次第なんですよね、この面白さは。
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