鍋レモン

ベンジャミン・バトン 数奇な人生の鍋レモンのレビュー・感想・評価

4.9
⚪概要とあらすじ
F・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を『セブン』のデヴィッド・フィンチャーが映画化した感動巨編。

80代の男性として誕生し、そこから徐々に若返っていく運命のもとに生まれた男ベンジャミン・バトン(ブラッド・ピット)。時間の流れを止められず、誰とも違う数奇な人生を歩まなくてはならない彼は、愛する人との出会いと別れを経験し、人生の喜びや死の悲しみを知りながら、時間を刻んでいくが……。

⚪キャッチコピーとセリフ
“人生は素晴らしい。”

「みんな“違う”と感じるわ。でも最後は同じ。たどる道が違うだけよ。自分の道を選んで。」

⚪感想
ファンタジードラマ作品。

小学生か中学生くらいの時に地上波で見た記憶があって、何となくしか覚えてなかったんだけど好きな映画だったなっていう記憶があって今回改めて観たら凄く良かった。

人生とは、運命とはを考えさせられる。

登場人物の一人一人のセリフが全て名言。

当時はメイク技術凄いなって思ったけど今観るとややトイストーリーみを感じる。

映画化されるまで主演や監督が迷走していたようだけどなんだかんだデヴィッド・フィンチャー、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットで良かったんじゃないのかな。

ブラッド・ピットの演技力。
精神年齢と見た目の年齢が反比例する訳だけど見てる側としてはなんの違和感もなかった。

ベンジャミンは老人施設で育っただけあって他の人よりも多くの死を見てきたのだろうか。

ベンジャミンとデイジーのすれ違いが切なかった。それぞれのその時の想いの温度差が生々しいというかリアルでどっちにも共感できるし肩を持ちたくなる。

実際にベンジャミンのような人生の送り方がマジョリティだったらと少し考えてしまった。
歳を重ねるごとに若返る。健康面で大変そう。
歳を取ることは悲しく受け入れられがちだけど愛する人がいればそれはある意味幸せなことで喜びにもなりうるのかも。

2時間以上あるとは感じられないほど物語に引き込まれた。



⚪以下ネタバレ



個人的に好きなシーン。
ベンジャミンが病院でデイジーが事故に遭うまでの振り返るシーン。私が大好きな『ミスター・ノーバディ』の彼女から貰った電話番号が書いてある紙が色んな運命が重なり消えてしまうシーンに似ている。
ある女性が忘れ物をしなかったら、タクシーに乗れたら、ある女性が恋人に振られなかったら、タクシー運転手がカフェに寄らなかったら、トラックが邪魔をしなかったら、デイジーの友人の靴紐が切れなかったら、タクシー運転手がよそ見をしなかったらと沢山の運命と偶然の重なり。

ティルダ・スウィントン演じるエリザベス・アボットのサイドストーリーも良かった。

⚪登場人物から
老人として生まれ若返るという数奇な人生を送るベンジャミン。

ベンジャミンと出会い運命を共にするデイジー。
バレエの人生を歩むが事故で引退。

ベンジャミンが恋に落ちる人妻のエリザベス。
19歳の時に女性初の英仏海峡横断泳に挑戦したが中止。ベンジャミンと自然消滅し時が経ったあと達成。

ベンジャミンの実の父親でボタン工場を経営しているトーマス。
ベンジャミンを老人施設の前に18ドルと一緒に置いてくる。その後ベンジャミンとお酒を飲む仲に。後に事実を伝え全てを譲り亡くなる。

老人施設を運営しベンジャミンを育てたクイニー。
子供を産めない体だったためベンジャミンを神の子と思い育てる。

クイニーの夫のティジー。
最初は反対したけど良き父に。

ベンジャミンを船に乗せたマイク船長。
まさかのベンジャミンが童貞を知っていい所を紹介してくれた人。
タトゥーアーティストでもあるらしい。
ハチドリのお話が良かった。羽ばたきが8を描き永遠を∞。

反対に動く時計を作り出したガトー。
目が不自由。戦争で息子を失う。
ニューオーリンズの駅にガトーが作った大きな時計が飾られるも逆回り。知ってか知らずかボタン職人の家ではベンジャミンが生まれる

フィラデルフィアで猿と一緒に檻に入れられ見世物にされたオティ。
小柄な黒人男性。ピグミーは世界で最も身長の低い民族と言われているそう。

雷に7回打たれた男ドウズ。
屋根の修理をしている時、郵便を取りに行った時、原っぱで牛の世話をしている時、考え事をしながら運転していた時、犬と散歩している時などに雷が落ちたとか。ちゃんもセピアカラーで映像が出るのが良き。、

メイプル夫人。
ベンジャミンは名前を覚えていないが大切なこととピアノを教えてくれた人。
「名前の出てこない人ほど思い出は覚えてたりもする」もまた名言。ベンジャミンをとメイプル夫人の2人のシーンまた違った美しさがあって好き。

⚪以下ストーリー(Wikipediaから引用)
80歳の状態で生まれ、年を取るごとに若返る人生を与えられた男の一生を描く。

2005年、ハリケーンが接近中のニューオーリンズ。病院で死の床に伏している老女デイジーは、娘キャロラインに、ある日記帳を自分に読み聞かせるよう求める。その日記帳にはベンジャミン・バトンという男の人生が綴られていた。

1918年のニューオーリンズ。第一次世界大戦が終わった日の夜、生まれたばかりの赤ん坊が、ある老人施設の前に置き去りにされていた。施設を経営する妻クイニーと夫ティジーの黒人夫婦は赤ん坊に気付き拾い上げ、その老人のような姿に驚く。子どもの産めない体であったクイニーは、赤ん坊を神の子であると信じ、ティジーの反対を押し切り、自らの手で育てることを決意する。赤ん坊はベンジャミンと名付けられ、施設の老人たちからも歓迎される。身体機能の弱さゆえ、医者からも少ししか生きられないと見られていたベンジャミンであったが、無事に生き延びて成長し、施設内で車椅子の生活を送るようになった。

1930年の感謝祭の日、杖一本で歩けるまでに若返ったベンジャミンは、施設に遊びに来た入居者の孫娘デイジーと運命的な出会いを果たす。互いに惹かれ合う二人であったが、外見が老人のベンジャミンには、少女のデイジーと遊ぶことは許されないのであった。

1936年、17歳も終わりに近づいたある日、若返りを続け元気になったベンジャミンは、世界を知るため、船に乗って旅立つことを決意する。別れを惜しむデイジーにベンジャミンは、行く先々から葉書を送ることを約束する。ベンジャミンは旅立ち、一方のデイジーは、ニューヨークのバレエ学校のオーディションに合格し、バレエダンサーの夢に向かって歩む。ベンジャミンは船乗りとして働くかたわら、滞在したホテルで人妻との恋、そして切ない別れを経験する。やがて始まった太平洋戦争で、ベンジャミンの乗る船は後方支援を担当し、戦禍に身を投じることとなった。

1945年、26歳になったベンジャミンはニューオーリンズに帰り、クイニーの歓待を受ける。大人の女性に成長したデイジーとも再会するが、都会で洗練されたデイジーに戸惑い、すれ違いを重ねる。

時は流れ、ある日デイジーはパリでバレエの練習からの帰り道に車に撥ねられる。知らせを聞いて病院に駆けつけたベンジャミンであったが、デイジーは足を骨折しており、バレエダンサーの夢を断たれてしまう。そっとして欲しいというデイジーの気持ちを尊重し、距離を置いて見守ることしかできないベンジャミンであった。

しばらくして、ある日ひょっこりデイジーがニューオーリンズに帰って来た。ベンジャミンとデイジーの気持ちが初めて重なり、その夜二人は結ばれる。構えた新居で二人だけの甘い生活が始まった。やがてデイジーは妊娠し女の子を生む。それがキャロラインであった。幸せな家庭生活の始まりのはずであったが、ベンジャミンには大きな悩みがあった。若返り続ける自分には一家の父親はとても務まらないというものだ。やがてベンジャミンは二人の前から姿を消す。

やがて、ベンジャミンは10代の少年の姿となると同時に、認知症を発症して自分のことさえ分からなくなっていたため、所持品からデイジーの元に連絡がくる。ホームに入居した2人だったが、次第に幼児の姿となり、赤ん坊となったベンジャミンは、老婆となったデイジーに抱かれながらこの世を去った。

キャロラインがその日記を読み終えると同時にデイジーは息を引き取った。

⚪鑑賞
地上波で鑑賞。
GYAO!で鑑賞(字幕)。
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