ありふれた不倫物と思ったら、まさかの展開にビックリ仰天のイタリアン・サスペンス。
経済的にも恵まれ、愛する娘もいる専業主婦のヒロイン。
夫は、妻を愛しているが、気持ちを理解したり寄り添ったりする事が出来ず、独善的で思いやりに欠け、神経質で威圧的に束縛する・・・彼の職業的背景も暗喩しているんだろうが・・・まぁ、良くあるタイプの亭主関白。
そんな一人の大人の女性として尊敬してくれない夫に、作り笑いで尽くしつつ・・・たった一度の人生が、こんな虚しい毎日で良いのかしら・・・と鬱屈した人妻が、ウッカリ出会ったハンサムで若い男に夢中に・・・
辺りまでは、『薔薇の貴婦人』で若い人妻役だった(当時28歳)ヒロイン演じるモニカ・グェリトーレが、今作では40歳を迎えて、また違った魅力があるよね・・・などと鼻の下を伸ばして観ていた。
観ていたのだが、カフェで男の手がぶつかってシャツにコーヒーがこぼれる出会いはベタなんだが、その後からヒロインのジャブ無しの恋のストレートパンチの連続で度肝を抜かれた。・・・イタリアって、そうなの?
いきなり見知らぬ女性の襟元に手を入れてシミを拭こうとする男も凄いけど、そこで何かイケないスイッチが入った奥さんが、娘を早めに学校に預け、彼と再会出来ないかカフェ周辺をうろついたり、再開したら「貴方を待っていた。」とか「貴方と寝たい。」とか、演出上の心の声かな?と思ったセリフを、実際に口に出していてビビる。
その後は、たがが外れた様に暴走する情愛。やがて少しづつ破滅に向かっていく行動に・・・スゲぇなイタリア人・・・と偏見だけが積み増される。
その一方でオープニングから、ビデオ撮りだったり、妙な画角のショットだったりが挿入されて、なにやら伏線の臭い。
そしてまさかの展開に・・・。
これ、基本はヒロイン目線での作劇になっているけど、若い情夫や夫の視点で編集したら、それはそれで全く違う物語になる所が面白いね。
イタリア怖い国・・・。