糸宮

雲のむこう、約束の場所の糸宮のレビュー・感想・評価

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)
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「うちのバイト先のオヤジめっちゃ怖くてねぶたの鬼みてぇだぜ…今度見に来るか?」って女の子誘うシーン笑った。
そんな誘い文句あるかい…そしてそれで来るんかい…。

自分にとって新海誠作品は秒速5センチメートルが初だったので、ノスタルジックな世界で上手く行かなかった恋愛をなんだかアンニュイな主人公が独白する序盤にコレコレ〜ってなってしまった。
しかも宇宙がみる夢≒並行世界やら雲の上まで伸びた塔に向かって友達と飛行機つくったりSF要素まで出てきてなかなか見ごたえがある…。

ところどころの描写は秒速5センチメートルにつながるようなものが多く…比較して見ても楽しそう。
同級生?の女の子と二人で列車が戦車を載せてゆっくり走る様を眺めるシーンと大型トラックがロケットのパーツを「時速5キロメートル」で走る様を眺めるシーンとか…。

と書いてて思ったけども、秒速5センチメートルでは恋愛と郷愁以外の描写はほぼなく、恋愛も言ってしまえば小学校時代の初恋をただ引きずっておじさんになってまでウジウジしてるだけなのにあそこまでの熱量を出せる新海誠はやはり剛腕…!!(褒めてる)

特別な力を持った特別な女の子に恋するも女の子が世界の犠牲になってしまいそれを主人公が救い出して…という構図は新海誠作品では頻出するし、もっと日常をフィーチャーした作品でもヒロインはやっぱり神聖化されてるし、これは新海誠の作風だろうか…。
そのわりに女の子の人格や生い立ちについてはあまり詳しく描写されないのがなんだか自分本位な感じがしてしまい今になって見るとちょっと青臭さが目立つか…?

それでも郷愁特化の描写力は良いし、危うい思春期の少年を見てる気持ちにもなる。手放しに好きとも言えないが放っておけないのが新海誠の作品という感じがする…。
糸宮

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