円柱野郎

雲のむこう、約束の場所の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

雲のむこう、約束の場所(2004年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

二人の青年が、少年時代に少女と交わした約束を果たすために行動する姿を描いたアニメ。

この作品が初めて観た新海作品。
なるほど、風景や情感の描写センスは抜群ですな。
風景の切り取り方は感心することしきり。
くどいくらいに見せてくれるけれど、それはそれで場面の空気や感覚を伝えてくれる素晴らしい絵になってる。
そう、アニメながらキャラクターの動きと言うよりは風景をまるで止め絵のように流す時間が長い。
それが新海誠っぽさと言うか、独特の空気なんだよねえ。
主人公の語りと相まって、静かに心に染みこんできますわ。

ストーリーは主人公達の話と、もう一方で日米連合とユニオン(旧北海道)の武力衝突が平行して描かれる。
ストーリーの核である“塔”も、ユニオンの兵器なのか何なのかと物語上出てくるけど、実際この作品にとってそう言った舞台は重要じゃないと思う。
ウラ設定がキチンと作ってあるようには思うけれど、そこをあえて語らないのは“主人公達の感情を描きたい”という制作者の意図でしょう。
主人公にとっての世界はサユリだけであって、世界の流れは見えていない。
そういう感情が、必要以上の説明をしないこういった作風に表れるんじゃないかな。

劇中、「塔は様々な象徴であった」というシーンがあるけれど、まさにその通りで、物語上の“塔”の存在は“象徴”以上でも以下でも無いと思う。
じゃなかったらあんな風景で塔は描けないやろう。

個人的にはありな作品かと思うけど、いくらかこそばゆい感じはしたね。
青春くさすぎるのがちょっと苦手ではあるのでw
円柱野郎

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