なべ

リオの男のなべのレビュー・感想・評価

リオの男(1964年製作の映画)
3.8
 ジャン・ポール・ベルモンドの一番といえばやっぱり男シリーズだよね(異議は認める)。リオの男はシリーズ第一作目。昔はテレビの洋画劇場でしょっちゅう放送されてたけど、まったくといっていいほど見かけなくなったフランス産の軽快なアクション映画。当時のちびっ子映画ファンはどれだけハートを鷲掴みにされたことか。だから傑作選Ver.2で上映が決まるや、この作品だけは何としても観にいかねばと決めていた。休みの日の早起きは人の道に外れるというポリシーを曲げて、朝9時半からの上映に新宿武蔵野館にかけつけたからね。

 あれ、なんか違う。おもしろいけどいろいろと印象が違う。編集のタイミングとかキャラクターの設定とかエンディングとかも雑だし(2、3カットスタッフの手が見切れてた気がする)。
 ああー、テレビでは山田康夫が声をアテてたし、尺に合わせて随分カットしてたからか。もっとアップテンポだったんだよな。加えてベルモンドに実写ルパンのイメージを重ねてたせいもあるかも。
 とはいえ、スタントを使わないガチアクションは今見てもハラハラするし、漫画のような密航の手口やバイクでの追跡、高所でのチェイスなど、矢継ぎ早に繰り出されるアクションはいま見てもなかなか見応えある。
 それに何といってもベルモンドの人タラシなチャーミングさにニヤニヤが止まらない。ほんと魅力の塊だわ。彼なら「うんこぶりぶりー」とか言っても許せちゃう。こんな存在感の役者ほかにいないよね。

 今回久しぶりに観て、インディ・ジョーンズはリオの男を結構パクってんなと驚いた。靴磨きの少年を相棒にするところとか、カノジョを誘拐されるのを目撃して冒険が始まるところとか、遺跡の財宝とか。なかでも日光で封印を解くところなんてそのまんまやん!アメリカ人は仏映画など観ないとタカをくくったな、ルーカス&スピルバーグ!

 あと、昔の印象と大きく違ってたのは婚約者アニエスの描かれ方。ベルモンドに負けてないくらいチャーミングなヒロインだとばかり思っていたが、結構ヤバい、てかどうかしてる。完全に向こう側にイっちゃってるんだもん。サイコじゃん。いくらかわいいだけの存在とはいえ酷すぎる。これでは好きになる理由がわからない。いくらなんでももうちょっとちゃんとして欲しかったなあ。
 他にも、記憶では靴磨きの少年はもっと長く行動を共にしてた印象があったのだが、早々に離脱してた。たぶんインディ・ジョーンズ魔宮の伝説なんかで上書きされちゃったんだろうな。
 そんなわけでいろいろ雑ではあるけど、若きジャン=ポール・ベルモンドの男シリーズをスクリーンで見ることができたってだけで、はいこの点数です。
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