ディズニー古典として及第点とは言えない。
ディズニーのアニメーションは基本的にどれも好きなのですが、なぜか本作だけは好きになれません。
その昔、テレビで見たときは、「すごい」と思ったのですが、今回、改めて見て、あまり感心しませんでした。
もっともテレビで見たという記憶もかなりあいまい。
ウィキペディアで調べると、1993年に金曜ロードショーにて放映とあるのですが、もっと昔に見たような気がしていました。
『ダンボ』のテレビ放映が1978年ということで、そのすぐ後だったような気がしていたのですが…。
それはともかくとして、今回感心しなかったのは、廉価版DVDの色の褪せた映像で見たからだったのでしょうか。
でも、同じ廉価版の『白雪姫』は映画館で見たときと同じような感動がありましたから、映像のせいばかりともいえないし…。
とにかく、ディズニーの長編アニメーションの中では、魅力の少ないものと思われます。
少なくとも僕には。
前作の『白雪姫』のインパクトが強すぎるせいかもしれません。
ディズニー・アニメにつきものの、プリンセスがいないせいもあるかもしれません。
もちろん、この『ピノキオ』が、敬愛する手塚治虫の創造性に大いに刺激を与えた作品だということは知っています。
『鉄腕アトム』なんかまんま、『ピノキオ』だし、『どろろ』の百鬼丸や『ブラックジャック』のピノコ、映画版『火の鳥』のオルガなど、手塚漫画では、ピノキオのモチーフが繰り返し現れてきます。
スピルバーグの『A・I』だってアトムからのピノキオの逆輸入のようなものじゃないかと思っています。
だとしても、どうしても僕にはこの作品が好きになれません。
多分、原作の教訓くささがいけないのだと思います。
そのうえ、主人公ピノキオの、あまりの愚かさ加減に辟易とさせられてしまいます。
悪者にそそのかされだまされ、何度も同じような間違いを犯します。
ピノキオは無垢で無邪気な設定なのだろうとは思うのですが、たんなる愚か者にしか見えないのです。
コオロギのジェミニイが歌う、有名すぎるテーマ曲『星に願いを』のみがむなしく耳に残ります。
ライブアクションをトレースしたであろう妖精も、ほかのキャラクターから浮いて見えます。
ただし、ゼペット爺さんが作ったからくり時計の数々は、この作品の中で最も楽しい部分です。
こうした細かいところに気配りがされているのはさすがディズニーだと思うのでした。
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