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八甲田山のonataitaiのレビュー・感想・評価

八甲田山(1977年製作の映画)
5.0
ずっと観たかったし、やっと観れた。大傑作すぎる。余韻がやばい。どのTUTAYAに行ってもなくて、池袋ロサにあったから電車飛ばして借りに行った。
日露戦争を控えた1902年、雪中訓練を行おうと日本軍のお偉いさんが考えたところから悲劇は始まる。その舞台は青森県八甲田山。青森の冬は言わずもがな厳しい。その任務を任された、健さん演じる徳島大尉と、北大路欣也演じる神田大尉は、別々の場所から出発し八甲田の途中で合流しようと計画を立て、お互い意気込んでいたが、いざ訓練が始まると……というお話。実際にあった「八甲田雪中行軍遭難事件」が元ネタとなっている。

別の方のレビューにも書いてあったが、任務を任され、部下を思いながら真面目に計画立てていたのにも関わらず、無能で無知で威厳だけある上官が立場を悪用して、権限を奪い取ってからは災難まみれになってしまう神田大尉の有様を「中間管理職の悲哀」と表しているのにはとても頷ける。戦闘で死ぬならまだしも、訓練で命を落とす兵士たちが可哀想で仕方がない。

発狂しながら矛盾脱衣をして突然死する者、立ちションしたまま死んでしまう者、山から墜落して脚を折ってしまう者、木の枝が折れるかのように人がバタバタと死んでいく様子は、そんじょそこらのホラー映画よりも怖い。

この厳しい条件の中で撮影を行ったスタッフ、役者の方々に賛辞をお送りしたい。3時間近くありますが、とても観る価値があります。原作読みます!
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