藤原直樹

レニングラード 900日の大包囲戦の藤原直樹のレビュー・感想・評価

3.8
B級かと思いきや結構しっかり作られた戦争映画。
どこからどこまでが実話かわからないんだけど、純粋に物語映画として楽しんでみる。

冒頭の戦争シーンから泥臭い戦争アクションを想像したが、実際中身は主人公らが必死で生き延びようとする様を描いたドラマだった。
感傷的すぎると批判する人がいるかもしれない。
音楽や編集も感傷的で脚色されている部分もあるだろうが、実際に命を繋ぐ為に必死に戦った人々がいたのは事実で彼らの想いを想像しただけで胸が痛くなる。
離れ離れになってでも自分の子供だけは救うために疎開させる警部、自分の宝石を全て手放した女優、そして餓死寸前の少年ユーラの為に引き返した今作のヒロインであるケイト。
ナチス側のパイロットは逃げまどう市民を殺すことは出来ないと言い、攻撃もせずに死に行く。
間違ったことをするくらいなら死んだ方がマシだ。
彼らの躊躇いや彼らの内にある良心こそこの映画の描きたかったものなのかな。


飢えに苦しみ、盗み、人肉にまで手を出す。
皆んな生きる為に必死で周りが見えなくなる。
人間の尊厳すら奪っていく戦争の悲惨さが凍りつきそうなくらい冷たい映像の中でまざまざと描かれている。
藤原直樹

藤原直樹