m

血を吸うカメラのmのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
3.0
なにがその人をその人たらしめるのか。それはやはり幼少期に得た体験が元になるのでは?サイコサスペンスというよりは人生の儚さを見られる作品だと思った。

アルフレッド・ヒッチコック監督作品『サイコ』とよく比較されるらしい作品。タイトルがオシャレで鑑賞しました。『サイコ』とはまた違う毛色の作品だったと思う。今作の主人公マーク・ルイス(カールハインツ・ベームさん)は自らの境遇・性的嗜好と葛藤していて、サイコという狂いに狂った人間ではなかった気がする。恋人を殺さないようにと必死な彼には少し気の毒にも思えてしまった。

心理学者の息子であるマークは幼い頃、恐怖が人間に与える影響について、父親から絶えず実験をされていた。やがて成長したマークは、女性の表情をカメラに収めることに執着するようになる。そしてついには、死の間際の表情を撮りたいと熱望するに至る……。そんなストーリー。

常々、幼少期というのはその人の核になるんだなぁと感じている。体験したこと、体験しなかったことが大人になって作用する。地続きの人生で、どれだけ豊かな幼少期を得られるか。私的な話になるが、私は思春期のすべてを入院生活に当てた。無慈悲に奪われた思春期。今更どれだけ願っても得られない思春期。今になって勉強や人間関係のやりとりなど無知さを痛感している。今作のマークもそんなどこかやりきれない想いを抱えていたのなら、辛過ぎる。

マークはサイコではない。そのところが『サイコ』と比較して弱いのかもしれないが、人生とはなんぞや?なぜマークはこうなってしまったのか?に想いを馳せてしまう作品だった。

ラストがとても悲しいが、良い秀逸なものだったと思う。
途中で入った女性のダンスシーンも可愛い。

ここまでマークを擁護・感情移入したが、恐怖が人間に与える影響の実験、地味に興味ある。

ストーリー : ★★★☆☆
映像 : ★★★★☆
設定 : ★★★★☆
キャスト: ★★★☆☆
メッセージ性 : ☆☆☆☆☆
感情移入・共感 : ★★☆☆☆
m

m