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血を吸うカメラのGijoeGoのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
3.8
クラシカルな作品かと思ってたが意外にも新鮮な話。

犯人視点で殺人が犯されていくのはアルジェント作品やルシオフルチ作品等数多あるがそれ自体が犯人の持ってるカメラ視点で、彼が主人公で話が展開していくのが新鮮。

そんな異常な彼の良い面を信じる一階の住人のヒロインのヘレンが健気。その母親も盲目ゆえ鋭い観察眼で彼の異常性に警告を出すも警察に通報せず心の底では信用している。

予想の1枚も2枚も上のストーリーに最後まで釘付け。
主人公のマークの危うげな演技が素晴らしい。善と悪がせめぎ合う葛藤がどことなくハエ男を彷彿とさせる。
対するヒロインもルックスは美しいというより愛嬌のある顔で純粋な芝居で引き込んでくれる。

新聞屋の2階がヌードスタジオになっていたり、新聞屋なのに入り口はピンクチラシだらけでまるで風俗無料案内所の様相。そこに女児がお菓子を買いに来る60年代が今見ると凄い。
自分の子供の頃は70年代でポルノ映画の電柱看板をギリ見る事が出来た時代なので昔はもっと性にオープンだったのかと感心。

ヌードスタジオなのにギリギリヌードを見せないけど集客の為ギリギリまで見せるのがかえってエロい。最後の方で一瞬おっぱいを見せてくれるのに気概を見た。

ラストの死に様は非常にインパクトがあってこの作品が伝説になるにふさわしい終わり方。

彼も父親の被害者だったのも、より一層悲劇的で単なるサイコスリラーではなく多層的な魅力に溢れている。
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