ゆきゆき

血を吸うカメラのゆきゆきのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
3.6
シリアルキラーを扱ったサスペンス映画の古典だが、アプローチがなかなか興味深い。

主人公は女性の恐怖の表情をカメラに収めては殺す青年。しかし本人はその殺人衝動に悩みを持っており、この作品では理解不能な殺人鬼でなく、ひとりの苦悩する青年として描いている。そしてその苦悩は自分に好意を寄せる女性と出会ってしまったことから頂点に達する。彼女に近づきたい、しかしその果てには相手を殺しかねない。あまり情報を入れずに見始めたのだが、シリアルキラーの恋物語になるとは思わなかった。

異常犯罪の衝動などは病気であり、精神科医による治療が必要であるというのはここ最近でも言われていることだが、ここでも主人公をただの犯罪者で終わらせるのではなく「窃視症患者」と位置づけている。彼女の母親が主人公の異常性癖について専門家への相談と治療を促すシーンがあるのも印象的。

1960年という古い映画ですが、ただの悪趣味では終わらせない出来の作品でした。
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