まぐろさばお

血を吸うカメラのまぐろさばおのレビュー・感想・評価

血を吸うカメラ(1960年製作の映画)
4.0
当時の時代を考えて仕方がないけど、スプラッター部分、殺害部分などが全く映らないのでむしろ血を隠すカメラじゃないかという感じがあるものの、見れば見るほどメタ的な含みのある映画のように思える。
繰り返し現れる照明の光、そして光は主人公幼少トミーの目に注がれる。カメラ、映写機の数々。
「さっさと残虐シーンを見せろ!苦悶に歪むパツキン女や痛そうな流血シーン見るために金払ってんだよこっちは!」と、怒号を飛ばすわれわれ観客の本質はオブラートに包まれた「ピーピングトム」なのかもしれず、盲人のあの軽蔑した態度(「静かに歩くやつは信用できない=劇場でしずかに見てる観客」)は我々にこそ向けられたものだったのかも知れない。
タイム紙のベスト25にランクインするのもそうした風刺的な力強さからかな。