りょうすけ

愛と追憶の日々のりょうすけのレビュー・感想・評価

愛と追憶の日々(1983年製作の映画)
4.0
「愛と追憶の日々」

第56回アカデミー賞にて作品賞、監督賞、脚色賞、主演女優賞(シャーリー・マクレーン)、助演男優賞(ジャック・ニコルソン)の5部門を受賞した作品。母親と娘の30年にわたる愛憎を描いたドラマ。

夫を早くに亡くし、女で一つで娘を育て上げたが、精神的に不安定なところがある母親を演じるシャーリー・マクレーンと、母親の反対を押し切り若くして結婚し3人の子供を儲けた娘を演じるデブラ・ウィンガーの演技がとにかく素晴らしい。実際の親子以上に親子らしさを感じるほどだ。男で父親に踏み入った話をする人はあまり多くないだろうし、男からすると想像もできない、母親と娘の密接な関係性を描いているので客観的に見ると非常に微笑ましい。仲は良いのに常に対立しているように見えるところもリアルに描かれていた。

また、母親の恋人として登場したジャック・ニコルソン演じる宇宙飛行士のキャラクターがいい味を出していた。ちょっと風変わりな隣人という印象だが、いざという時は頼りになるし、案外紳士的。こういう男に憧れる。ジャック・ニコルソンの演じる男は結構こういう役が多い気がする。「カッコーの巣の上で」のマクマーフィーもそうだけど、「こち亀」の両さんみたいな曲がったことが嫌いな男らしさを感じる。

全体の4/5くらいは「微笑ましい」という感想で終われるのだが、流石にラストは辛かった。家で映画を観ていて涙を流したのは結構久しぶりかもしれない。このシーンでの演技はどの俳優も素晴らしかった。特にシャーリー・マクレーン。この作品、この後の物語を描いた続編があるようだが、本作の感動を打ち消されてしまいそうな感じもあるので、多分一生手を付けることはなさそう。
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