りょう

マルサの女のりょうのレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
3.7
主人公の宮本信子が査察に入った社長宅の息子とスーパーマリオをするシーンが象徴的だった。巧みに金の流れを支配し税務署の目をごまかす経営者側と執念深く食いつく査察官との闘いはまさに失敗の許されぬゲームのよう。物語最大の敵役を山崎努が怪演している。物腰の柔らかさの中にどこか人にえも言われぬ不快感を与える老獪な男で、裏金を操作する指示を電話で与えながら愛人にねっとりした愛撫を加えるという典型的な悪徳社長の一面と息子思いの一父親の一面との両面を合わせ持つ。内反足を患った足を引きずりながら黙々と歩く後ろ姿にラスボスにふさわしい強烈な印象を受けた。アウトローな人間を徹底して悪として扱い、体制側をヒーローとして描くのは難しいことのように思えるがこの作品はその辺りみごとに描き切っていると思った。
りょう

りょう