うたまるさん

マルサの女のうたまるさんのレビュー・感想・評価

マルサの女(1987年製作の映画)
3.8
伊丹十三監督作品が久しぶりに観たくなって…。

今観ても面白い映画ですね。
伊丹監督の妻でもある宮本信子さんに惚れ込み、日本一の女優であることを世間に知らしめる為に「お葬式」や「〇〇の女」シリーズを撮り続けた作品はどれをとっても色褪せない面白さがあるとまで言ってしまうのは褒めすぎでしょうか。
とにかく、伊丹作品はどれも大好きです。

さて、この作品は地方の税務署に勤めていた女性が念願の国税局の査察官を拝命され、国民の脱税を許すことなく、しっかりと査察し摘発していく物語。
皮肉にも伊丹監督自身がたくさんの税金を納めなければならない立場になって今作を作ろうと思いついたあたりも天才監督の発想ですね。

隠しても隠しても暴かれる査察と脱税者の追いかけっこに留まらず、やはり伊丹作品に欠かせない山崎努演ずる権藤社長の人間ドラマもしっかり描くところがこれまたいい。
金!金!金!の権藤社長にとって唯一の泣き所、それは一人息子の太郎の存在。
主人公の宮本信子演じる板倉亮子は税務署員時代からそのことは知っていた。
金の亡者の権藤の父親としての優しい一面を。

査察官になり、ついに権藤の経営する会社にも査察の手が及んだ時、彼女の中には複雑な想いも。査察官としての使命は勿論だが、年頃になり反抗期を迎えた太郎と父親との関係もうまく修復させてあげたい。太郎にとって胸を張れる父親の姿を見せてあげてほしいと。

まぁ、勝手に私がベラベラ語るよりも観て楽しむことが一番ですね。
懐かしい俳優さんが沢山出ているのもこの時代の作品を観る醍醐味の一つ。
是非是非ご覧あれ。オススメです。
うたまるさん

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