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ラスト・キャッスルのNoAceJustYouのネタバレレビュー・内容・結末

ラスト・キャッスル(2001年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

2022/11/12鑑賞。78点。
・刑務所もの英語の中では特に好き
・【戦国自衛隊】で真田広之がやったヘリコプターのハイジャック。

〈あらすじ・ネタバレあり〉
アメリカの軍刑務所、通称. ラスト・キャッスル。この刑務所には軍人や元軍人が収監されているが、入所前の階級などは一切関係なく、ただの囚人に過ぎない。だが、一般の刑務所とは違い人種関係の対立や殺し合いはなく、同じ軍人仲間として互いに尊敬し合っていた。

幾多の戦争で指揮を執ってきたアーウィン中将(演. ロバート・レッドフォード)。
彼は、大統領の決定事項に反して作戦を決行したうえ、それによって8名の部下が敵地で捕獲・処刑された責任を追及されて軍事裁判にかけられ、有罪判決を受けた彼はラスト・キャッスルに移送される。

刑務所長・ウィンター大佐(演. ジェームズ・ギャンドルフィーニ)はアーウィンを歓迎して「著書を持ってるからサインをくれ」と頼むが、ウィンターの趣味である【戦争に関連する戦利品収集】を遠回しにディスったため、彼の反感を買う。

ウィンターは囚人を非人道的に扱っており、ゴム弾による囚人制圧で死傷者を出したり、虐待に等しい懲罰を加えていた。

ドクやエンリケスといった囚人たちと交流を深めたアーウィンは囚人の1人・アギラー(演. クリフトン・コリンズ・Jr)に敬礼の仕方を教えてやるが、刑務所内で禁止されている敬礼をやったためアギラーは懲罰対象に。
アギラーは大雨の降る運動場で1日中敬礼をする懲罰を受けさせられるが、見かねたアーウィンが看守のペルツ大尉に体に触れてアギラーの懲罰を終了させてくれと頼んだため、アーウィン自身も懲罰対象となる。

アーウィンは、炎天下の運動場で石運びの懲罰を受ける。朝から夕方まで働かされるアーウィンを見て、刑務所内で賭博を仕切る一匹狼の囚人・イェーツ(演. マース・ラファロ)は、「アーウィンが石運びを夕方まで続けられるか?続けられないか?」で賭けを始める。

最後の最後まで石運びを続けたアーウィンは、囚人たちの信頼を得る。当初はアーウィンを老ぼれ呼ばわりしていた軍曹・ボープレ(演. ブライアン・グッドマン)もアーウィンに敬意を示すようになり、軍人の家系であるイェーツは「自分の父親は、アーウィンと一緒にハノイで捕虜になった。あなたに救ってもらって感謝してる」と礼を伝える。

囚人たちは刑務作業の一環として【1870年代に倒壊したラスト・キャッスルの壁を修復する】ことを命じられている。
アーウィンの指示でレンガ職人の父親を持つアギラーが刑務作業の実質的なリーダーとなり、囚人たちは一致団結して作業に臨む。

アーウィンの著書を読んでいたウィンターは、彼が軍人同士の結束を固めるための手法として【痛みを共有した後、自尊心を与える】ことを知っていた。刑務作業においてもアーウィンが同じやり方で、囚人たちをまとめていると気づいたウィンターは、修復中の壁を破壊することで囚人たちの結束を葬ろうとする。
壁の破壊を止めようとしたアギラーが抵抗をしたため、看守のザモーロ伍長が頭部を狙ってゴム弾を発射。

アギラーは死亡し、アーウィンは罪悪感に苛まれる。アーウィンは囚人たちを集めてアギラーに歌と敬礼を捧げる。

予想に反して囚人同士の結束がより強固なものになったため、ウィンターは「敬礼を含む軍人時代の一部慣習を認める」と伝えて事態の沈静化に努める。
しかし、アーウィンは「そんなものクソ喰らえ。お前の辞職が妥当な取引だ」と返す。

自分の力では抑えられないと考えたウィンターはホイーラー准将に相談するが、一部の囚人たちが刑務所に来たホイーラーを誘拐する計画を立てたと聞きつける。
ウィンターは、刑務所内で最悪レベルのトラブルが発生した時の対応を進める。
①監視塔からのゴム弾による狙撃
②重装備の看守たちの出動
③高圧の放水ポンプを装着した装甲車の出動
④ヘリの出動
しかし、誘拐計画などそもそも存在しなかった。緊急時の対応手順を知るため、アーウィンが仕掛けた罠だったのだ。

アーウィンは囚人たちを集め、「刑務所長を解任するためには複数の条件がある。最も確実なのは、【刑務所長が刑務所を管理できていないことの証明】だ」と伝え、その手段として刑務所を乗っ取ることを提案する。

一方ウィンターは、イェーツに釈放を持ちかけて買収し、アーウィンの動向を探らせる。
イェーツを買収したと安心するウィンターだったが、イェーツはアーウィン側。つまり、二重スパイだった。
イェーツは、「アーウィンが、アメリカ国旗を逆さまにして掲げるつもりだ」と報告。ウィンターがオフィスの中を探すと、あるはずのアメリカ国旗が持ち去られていた。
ウィンターは、アメリカ国旗を取り返すために刑務所内を捜索するべく、囚人たちを運動場に集める。
だが、それこそがアーウィンの狙い。看守のほとんどを刑務所内に監禁し、囚人たちは運動場を乗っ取る計画なのだ。

①監視塔からのゴム弾による狙撃
②重装備の看守たちの出動
③高圧の放水ポンプを装着した装甲車の出動
④ヘリの出動
の順でウィンターは対応するが、囚人たちは自作の投石器やパチンコを使ってレンガを刑務所や監視塔に打ち込み、優勢に進める。
さらに、放水ポンプの水を止めて装甲車を乗っ取った後、今度はヘリをハイジャックして撃墜させる。

切り札を全て失ったウィンターに追い討ちをかける出来事が。
囚人が看守のフリをしてホイーラー准将に連絡を取ったため刑務所での暴動が外部に漏れたのだ。

追い詰められたウィンターは、看守たちに実弾を使って制圧しろと指示を出すが、ペルツ大尉がその指示には従うなと看守たちに伝える。
ウィンターのやり方に不満を持ちつつも反抗できなかったペルツなりの反抗だった。

アメリカ国旗を逆さまにして掲げようとするアーウィンを、ウィンターが銃撃する。
胸を撃たれたアーウィンは、わずかな力を振り絞って国旗を高く掲げて絶命する。

国旗は逆さまに掲げられてはいなかった。
ウィンターを確実に失脚させるため、アーウィンは最初から自分の命を犠牲にするつもりだった。と同時に、囚人や看守という立場を超え、軍人・愛国者という共通の立場で【アメリカ人であるアイデンティティを自覚させる】ことが目的だった。

アメリカの先人が遺した言葉。
「旗を高く掲げろ。そうすれば城は完成する」
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