三隅炎雄

関東やくざ嵐の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

関東やくざ嵐(1966年製作の映画)
4.7
1965-46年に小沢茂弘が鶴田浩二主演で集中的に撮った着流し任侠映画シリーズの5作目にして最終作。脚本に任侠映画初の宮川一郎が加わることで人物に奥行きが生まれ、自分だけでなく周囲のかたぎをも否応なく不幸に巻き込んでいくヤクザという生き方の非情を描いて、シリーズ中最高作となった。アメリカ映画ばりのダイナミックな男たちのぶつかり合いの中に、鶴田と桜町弘子・宮園純子の悲恋も無理なく溶け込んで、小沢任侠最高作のひとつと言って良い。自分の父親を目の前で殺されても、一度好きになった男なんだから鶴田への気持ちは変わらない、前と一緒、ずっと好きという、迷い屈折とは無縁の桜町弘子の真っ直ぐな愛のありようは、はなかなか見ない個性なのではないか。ライフル2挺で敵地へ殴り込む山本麟一の豪快は、ペキンパー映画のアウトローたちを予告するようで心躍る。
これは大変な傑作だと思う。家では洒落たナイトガウン姿の悪親分天知茂の造形もとても面白い。
三隅炎雄

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