バンバンビガロ

捕らわれの町のバンバンビガロのレビュー・感想・評価

捕らわれの町(1952年製作の映画)
3.4
ラスト1分ですべてが根底から覆される衝撃の展開というような煽りは大体誇大広告だが、この映画は割と本当にそういうラストかもしれない。
事件の全貌が明らかになって最後どうなるかというところで本物の上院議員が表れて事件の顛末を説明し犯罪撲滅に向けた演説をぶつ。結局これは犯罪撲滅キャンペーンとして作られた映画であることが明らかになる。なんだか騙されたような気分になったのだが、改めて犯罪撲滅キャンペーンの映画として考えると結構面白くて、なぜならこの映画の内容は知らず知らずのうちに町全体がマフィアに支配されていたという恐怖を描いたものであるのだが、見ようによっては町の人々はそもそも犯罪の撲滅など望んではいなかったということが明らかになる映画でもあるのだ。
これはどこまで意図されたものなのかはわからないがそれを踏まえると上院議員の薄っぺらな演説もなにか皮肉めいたものを感じないでもない。
もう一つ付け加えるべきはこの映画はドン・シーゲルの『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)と構造が非常に似通っている点である。『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』はマッカーシズムが吹き荒れた中でアメリカ市民に広がった疑心暗鬼、見知った人々を信頼できなくなる恐怖の反映として作られた映画として知られているが、この映画もマフィアを題材にしつつリアリズムの中でほぼ同じような主題を描いており強い共時性を感じる。
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