しばいぬたろう

ゴースト・ライトのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

ゴースト・ライト(2006年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『ゴースト・ライト』('06)
Half Light / イギリス、ドイツ / 英語

物語は全体的に静かで、展開も特に書くことがないくらい無難な物語。
トンデモ要素やアホなB級展開があるわけでもない。
非常にコメントし辛い作品だった。


新進気鋭のミステリー作家レイチェル・カールソンは、編集者兼新人作家の夫ブライアンと、5歳の息子トーマスの三人で、ロンドンで暮らしていた。
しかし、レイチェルの不注意もあり、トーマスが川に落ちて死んでしまう。
数か月後、息子の死から立ち直れないレイチェルは、友人のシャロンの後押しもあり、スコットランドの小さな港町に引っ越すことに決める。

街から少し離れた小さなコテージに居を構え、新作への題材探しを始めるレイチェルは、街の灯台に注目する。
その灯台にはアンガスという青年が住んでおり、傷心のレイチェルは彼に癒される。
一方で、街に住む不思議な女性に「息子さんが待っていた」と話しかけられ、レイチェルは動揺する。
夢か現かわからない中で、息子の幻影が彼女の周囲に姿を現す。

アンガスとレイチェルは親密な関係になるが、ある日、街の保安官の妻の誕生会に出席した際に、アンガスは数年前に死んでおり、その灯台には誰も住んでいないことを告げられる。
信じられないレイチェルはアンガスに会いに灯台を訪れるが、灯台はもぬけの殻となっていた。

街の保安官によると、昔その灯台では悲惨な事件が起きたらしい。
レイチェルが今住むコテージの前の持ち主とアンガスの妻が浮気をしており、その現場を目撃したアンガスが男ともみ合い、その末に男も妻も死亡。
アンガスは灯台から飛び降りて自殺した。

困り果てたレイチェルは、再び不思議な女性に会い、彼女から気をつけるよう忠告される。


主人公は息子を亡くした傷心の女性で、息子の幻影にうなされる描写もある。
しかし全体的にそのシーンが必要だったのか謎。
霊能者の展開が必要だったということならわかるが、その霊能者もあまり深く描かれないため、どこか腑に落ちない。
ネタバレ禁止の展開を入れるのは良いが、その内容が分かり易すぎる上に王道。
少しも捻りがないので、悪い意味で印象的な作品になってしまう。

デミー・ムーアが美しく、その他は正直なところ区別がつかなかった。
友人の編集者と街の霊能者の女性がゴッチャになり、それ故物語も把握できなくなる時もあった。
アンガスと恋仲になるうえで、大人向けな表現もあるため、子供の鑑賞前に検閲が必要。
あまり過激ではないし、正直必要なシーンなのかも謎なため、早送りしても良いと思う。

舞台はイギリスの家とスコットランドの田舎町だが、アメリカ人女性がイギリスで暮らすことに関して意味を見出す展開は特になし。
スコットランドの街と灯台の雰囲気は良かった。

灯台近辺で流れるピアノとバイオリンで奏でられる曲は好み。
壮大な曲が多い割に、内容が壮大でないため、肩透かしで勿体ない。

あまりにも横道な展開で、そして誰も救われない。
この事件が終わって、主人公が成長したわけでもない。
感動もスッキリもハラハラもしないため、本作を鑑賞したところで何も得られないと思う。
単なる娯楽作品にしても、物語が暗すぎる。
暇つぶしに何となく観るというのが丁度いいかもしれない。

原題の「Half Light」は「薄明り」という意味。
全体的な雰囲気としては、的を得たタイトルだったと思います。
邦題は微妙だが。​​​​​
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