三隅炎雄

デーモン・ワールドの三隅炎雄のネタバレレビュー・内容・結末

デーモン・ワールド(1986年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

アラン・ドロン製作・脚本・主演のファンタジー。フランスの伝統的な怪奇幻想とスピルバーグ以降のアメリカのB級ホラー・ファンタジーが合体した、極めてユニークな作品でとても面白く見た。ドロンが映画人としての自分を見つめ直した内省的な内容で作品歴の中でも重要作であろう。

交通事故死したアニメ監督ドロンの前に死神が現れ、愛息の命と引き換えに、作りかけだったアニメ映画を完成せよと幽閉強要する。ドロンはセル画から撮影編集まで全部一人でやらされて、申相玉どころの話じゃないのだが、なぜ死神がこんなことをするかというと、人間の想像から生まれた死神には想像する力がないのだ。死神は、ドロンが世界への警鐘として創造した死のイメージを利用して、世界そのものを破滅しようとする。死神は人間のいない世界で自分は存在するのか確かめたいのだ。怒るドロンに死神は言う。「映画の見方は自由だ」。

広げた風呂敷をキチンと畳みきれてなくて傑作秀作とかいうのではないけれど、実写とアニメを混ぜた怪奇幻想の世界は一見の価値がある。コンピュータの前に座りキーボード叩いて人口管理している死神が80年代らしいチープさで面白い。
三隅炎雄

三隅炎雄