dita

男はつらいよ フーテンの寅のditaのレビュー・感想・評価

4.5
新作公開に向けて過去の寅さんに会いに行こうシリーズ三作目

いつもいつも(と言うてもまだ三作目やけど)寅さんは目の奥が少しだけ寂しそうだね。

これはアカン…アカンやつや。自分の中のつよがりな気持ちと隠し続けている(隠せてないけど)寂しさが爆発して、ラストで大泣きしてしまった。そりゃ冒頭の「女房はこうであれ」な寅さんにイラっとしたし人の金を当てにする寅さんにコラってなったけど、誰かの幸せのために行動するってことは自分の幸せに蓋をするってことで、誰かを楽しませるってことは自分の寂しさを押し隠すってことで、寅さん…もうなんやねん…ってなった(毎回書いてる気がする)。

入っちゃうなぁ…ほんとに入っちゃうなぁ…っていうくらい大好きだったお志津さん(超綺麗)の幸せを、にっくきインテリに託し身を引いた番頭ならぬ番寅さんの淡い淡い炬燵の恋。そんな寅さんが繋いだ縁に溢れた大晦日の夜に、叶わなかった未来に向かって画面越しに語りかけるその声はおもいびとには届かない。あなたの帰りを待っているよという想いを込めて御前様が鳴らす除夜の鐘がどうか寅さんにも届いていますように。

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@ シネ・ヌーヴォ 2021.7.25(2回目)

フィルムで観る寅さんはやっぱり格別。全作観終わった後だと森崎のわちゃわちゃっぷりが際立つ。
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