シズヲ

復讐のダラス/怒りの用心棒のシズヲのレビュー・感想・評価

3.6
マカロニ・ウエスタンでJFK暗殺事件のパロディをやるという新鮮を通り越して挑戦的すぎる作品。舞台がダラスな上に所謂「魔法の銃弾」が争点になったりと、元ネタを意識した露骨な描写が多々見受けられる。事の真相にまで踏み込んでいるのが余りに大胆。暗殺から数年足らずでこういう映画が撮られているのは色んな意味で凄い。よくよく考えると「イタリアの映画監督がJFKを題材に西部劇を撮った」ということになるので、何だか奇妙な作品だ。

暗殺事件を主軸に話が展開されるので、アクションよりもサスペンス・ドラマに重きを置いた異色の内容になっている。政治や時代を背景に登場人物達の思惑が複雑に絡み合っていく様子はなかなか面白い。ジュリアーノ・ジェンマの悲哀を背負った演技にもグッと来るし、ラストの汽車を見送る姿もやるせない余韻に溢れていて秀逸。暗殺に至るまでの流れや描写が大雑把だったりと、社会派っぽい題材の割にマカロニらしい緩さが抜け切れていないのは難点か。終始地味なトーンで話が進んでいくので、見せ場的なアクションでいまいち盛り上がらない感じも否めない。
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