Bobsan

デッド・オブ・ナイトのBobsanのレビュー・感想・評価

デッド・オブ・ナイト(1974年製作の映画)
5.0
胸を締め付けられるような悲哀に満ちた異色の社会派ホラーですね。
ここで描かれる息子アンディの姿は言うまでもなく戦争に於ける心的外傷後ストレス障害、所謂PTSDの暗喩です。このような形で反戦を描く事にホラー映画としての芸がありますね。
周辺で起こる連続殺人が息子の仕業ではないかと感じながらも警察に打ち明けられない父親、息子を愛するが故に現実から目を逸らす母親。いずれの心情も痛いほど理解できるので胸が苦しくなります。
アンディがどういう経緯で従軍したのか定かではありませんが、彼の怒りの具合から望んで戦場に行ったのではないのでしょう。国の為に戦場に赴き、無駄に命を散らした若者達の悲痛な叫びがその姿に込められています。
従軍カメラマンとしてベトナム戦争を経験したトム・サビーニによる特殊メイクもいつもの派手なゴア・エフェクトは抑えられ、腐敗していくアンディの姿を丁寧に表現しています。
Bobsan

Bobsan