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泥だらけの青春のmのレビュー・感想・評価

泥だらけの青春(1954年製作の映画)
2.0
戦後9年目、売れない俳優が映画会社のニューフェイスのオーディションを受けて合格し瞬く間にスターになるが、思いっきり天狗になって嫌な奴になり、昔の仲間を見下すわ、成金のように大金を使うわ、女も売れない女優からスター女優へ乗り換えるわ、絵にかいたような思いあがり方を見せる。さらにギャラが安いから上げないと映画に出ないぞ、と会社を脅してゴネまくる。すると会社は主人公を見限って、新人俳優にその役をやらせて主人公を干す。仕事にあぶれた主人公は他の映画会社に移籍しようとするが、自分がいい仲になっている女優と一緒なら移籍させてやると言ってくる。そこで彼女を誘うが厳しく断られる。昔の恋人は昔の仲間と結婚するし、すっかり落ちぶれた主人公は酒におぼれ、バーで大喧嘩し泥の中に捨てられる。そこを昔の俳優仲間に拾われる。

三国連太郎が見たくて見たが、映画としてはこれ以上ないくらい典型的なストーリー。

売れない女優役に乙羽信子。乙羽信子・・・大スターだったとは思えないほどの地味ぶり。オーラゼロ。本当に「100万ドルのえくぼ」と言われるほど魅力的だったのか、ちと疑いたくなる。

対してスター女優役の高杉早苗は、強い意志を持つ女優役で、華もあるしよく似合っていた。「一緒に移籍してくれよお」と甘える主人公を「私は目じりにしわもできてきたし、頬もたるんできたけど、死ぬまで女優でいつづけるつもりよ」と言って、誘いを撥ねつけるシーンが良かった。「あんたとは覚悟が違うのよ」と言わんばかり。

お目当ての三国連太郎は、この頃30歳過ぎくらい。演技が上手いとは思わなかったけど、背も高いし体格もいいし、やっぱり見栄えがいい。

ただ出てくる俳優が全員、日本映画特有の活舌の悪さで、セリフが聞き取れない。これはなんだ。どうして日本映画はこうなのか。字幕つけろ。録音の問題なんだろうか。ヘッドホンをして見たけど、それでも聞き取れず、細かいセリフは諦める。

ところで主人公の行きつけのバーに飾ってあったヌード・ポスター。あれ、スターになる前のマリリン・モンローだよね。プレイボーイ誌の。この時代に、ああいう風に出回っていたとは知らなかった。
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