てる

ファイナル・カウントダウンのてるのレビュー・感想・評価

3.0
今観ると古くさいのは否めない。今やタイムパラドックスの作品なんて数多あるわけで、斬新さは感じなかった。
だが、アメリカ人のパールハーバーの負の記憶は根深いのだなってのがよくわかる。
歴史を変えられるなら変えてやる! ってくらいのヒーローイズムはさすがに掲げなかったものの、その場に居合わせ時に、歴史を改変するかどうか迷うよね? ってくらいアメリカ人には分かりやすい戦争の傷の象徴的な出来事だったってのは感じた。
この場で零戦を墜落させたらパールハーバーは起きない。でも、それをやってしまったら歴史は大きく改変してしまうかもしれないというジレンマを抱えたまま物語は進んでいく。
その息の詰まるような選択を迫られていく様は、この作品を観るに値する作品に押し上げている。

結局どうしようもなかったってことね。なんて結論を語ってしまうってのは野暮なのだ。この作品はタイムパラドックスに悩む兵士たちと、その時代に行って、最新鋭の戦闘機で無双するのを楽しむ作品なのだ。

ただ、やはりアメリカの作品なのだなと感じてしまう。
パールハーバーは日本が恥ずべき負の記憶であるのは間違いないが、タイムスリップするのが、原爆を搭載させた戦闘機の出発の瞬間でないのが、国民間の違いを感じてしまう。
パールハーバーよりも遥かに多くの死者を出した原爆に目が向かないのは、やはり先勝国だからなのだろう。
傷の大小を論ずるのは的外れなのはわかっているが、価値観に大きな違いを感じざるを得ないなと感じてしまった。
てる

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