Automne

永遠の僕たちのAutomneのレビュー・感想・評価

永遠の僕たち(2011年製作の映画)
4.4
繊細で美しい映画だった。
オープニングは『ジョジョ・ラビット』『mid90s』『ベイビー・ドライバー』と並ぶくらい好き。
脚本としてはある種王道の病気と余命系でありながら、パーツやモチーフのひとつひとつがユニークでありタイプだ。
演出も過剰ではなく余白の美があって好き。映画が公開されるまでにヘンリー・ホッパーの父親、デニスホッパーが亡くなって、彼に捧げる、とクレジットに記してあったのがあつい。それが物語とリンクしているのもすごい。

ただRottenTomatosで36%とかで酷評されてて泣いた…。ガス・ヴァン・サントのキャリアを地に失墜させた、とかうんぬん。作品の空気が似てると感じたグッドウィルハンティングは96%肯定的なのに何で?って思って批評見てたら、『君に読む物語』とかのスパークス節が感じられたら評論家的にはあかんらしい。たしかにモチーフ似てるけど、ディテールだったり映画のつくりはガッツリ、ガス・ヴァン・サント節が出てたと思ったんだけどな…。それともハロルドとモードを模倣しすぎたのが良くないんかな…。

作品自体は加瀬亮も良いし、特攻隊と難病というところから死という共通項があったり(平和なときは病気で亡くなるが、戦争ではあっけなく誰もが死ぬ。それは台詞にもあるように"無"だ)、それぞれのトラウマにリンクして展開していくのも良い。手紙を届けなかったのも、そんな手紙届けたら完全に非国民だし遺族が生きてゆけないからだろう、自分の中に想い出をしまったような死に方。そこのトラウマがイーノックに手紙として読み上げられることで解消され、成仏するという流れも好き。すべてのわだかまりがほんのりほぐされてゆく快さ(ただアナベルは可哀想😢)。
2011年の作品なのに、質感が90年代を彷彿とさせるのも好き。安定のガス・ヴァン・サントクオリティ。良作です🫰
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