Dantalian

引き裂かれたカーテンのDantalianのレビュー・感想・評価

引き裂かれたカーテン(1966年製作の映画)
4.8
公式を教えてしまった教授はどうなるか、アメリカ行きを夢見るポーランドの旧貴族の老女はどうなるか、と思うと恐ろしい。
鉄のカーテンの裏には人々の生活があり、恐怖と監視の中でも善意がある。それは同じ人間だから当たり前なことなのにカーテンの向こう側ではそれを想像できない人はなぜかたくさんいる。
雨傘運動のドキュメンタリーを観たとき、リーダーがインタビューで「なぜあなたたちはまだ学生なのにこういう運動をしていますか」と聞かれたとき、「大陸で洗脳教育を受けて政府の言うがままにしか行動できない学生と違って。。。。」という発言にショックの上深い失望をしたことがとても自分の記憶に残っている。
自分もそういうふうに、見えない・見たくもない敵に一方的にされたんだなと。鉄のカーテン裏の/海岸の向こうの、自分と同い年の人たちにも青春があり苦悩があり、政治に対する困惑ももちろんあることを、彼は想像ができないのか、それとも想像をそもそも拒絶した方が都合が良いのだろうか。
なぜ人間は薄ぺらい数枚の紙でできたパスポートで勝手に敵を創り上げ、想像することをやめてしまうのか。
Dantalian

Dantalian