これはヒッチ作の中でも上位に入る面白さ!!
ヒッチ流のあざとい演出は、
スパイ物がいちばん合う気がするな。
少しずつ主題をシフトさせるから、
決してダレさせない構成がすごい。
最初はセーラ視点のアームストロング教授の疑惑。
次に教授視点の東ベルリン幹部やセーラへの真意の隠匿。
続いてスパイ発覚の中でリント教授から秘密を引き出すタイムリミットスリラー。
そして出国までの逃走劇。
最後にはおまけで衣装篭からの脱出まで。
128分の中でしっかりと目先を変えてくるから、
絶対飽きない展開なんだよなぁ。
あのバレリーナの2回使いはずるい。
一度客席の二人を看破して、
あのバレリーナやべぇ。
というイメージを植え付けてからの2回目。
そういうジャブの打ち方がヒッチは天才。
逃走中に二人を助けるポーランド人マダムの存在。
あれがわりと評判悪いみたいだけど、
あのキャラこそこの映画の政治的メッセージの肝だと思うよね。
東側の中でも、
その体制が嫌で西側に出国したい人はいるんですよ。
その方法もあるんですよ。
って。
東側にも西側にも向けたヒッチのメッセージ。
ぼくは東西冷戦を経験していない世代だけど、
そういう所からいろいろ伝わってくるものがあるのだ。