ファン以外にはおススメしないがファンには感涙間違いなし。
このライブの時点でほぼ還暦。確かに若いころの声のハリや、乱暴ともいえるギタープレイ、パンクの魁である凶暴性はなりを潜めている。
ロックバンドセットのクレージーホースではなくアコースティック編成なので、余計におとなしいが、それでも途中で疲れたように椅子に座って演奏している場面にしんみり。
だが、良い枯れ方だ。声はしゃがれて高音もかすれ気味だが、染みること染みること。MCのジョークも味わいがある。
驚くべきはバックの人数で、コーラスだけでも10人、それも文字通り入れ代わり立ち代わりで立ち位置も定まらず、マイクはあえて一本に寄り添って歌う。そのほうがバランスとりやすいのかどうなのか。
ストリングスに至っては曲の途中でダブルカルテットがぞろぞろと出てきて、あろうことかパートが終わるとこれまた曲の途中でお構いなしにぞろぞろ捌けていく。
杓子定規に寸分の狂いも許さない日本の舞台演出に較べてなんと自由でリラックスしていることか。これでいいのではないかと思う。歌を聴きに来ているのだから。
エンドクレジットバックの弾き語りが白眉。