Maoryu002

セイブ・ザ・タイガーのMaoryu002のレビュー・感想・評価

セイブ・ザ・タイガー(1973年製作の映画)
2.7
服飾会社を経営するハリー(ジャック・レモン)には将来の展望も夢もない。会社の経営難に直面したハリーは右腕であるフィル(ジャック・ギルフォード)の反対を押し切って、放火によって保険金をだまし取ろうとする。社内での揉め事も多く、ハリーは精神的に追い詰められていく。

なんとも捉えどころがなく、娯楽性が全くない映画だ。当時、日本で劇場公開されなかったのもうなずける。

主人公ハリーはかつての戦場の記憶に悩まされ続けている。
かつて愛国心を胸に大戦を戦い、その後は会社を営んできた男が、今や経済を中心に動く社会についていけなくなっている。その姿が痛々しいばかりで救いがない。
そして、過去ばかり賛美し、生き残るためにモラルやルールを捨ててしまう。

ハリーを演じるジャック・レモンは「ミスタア・ロバーツ」や「お熱いのがお好き」のような喜劇役者の顔は全く見せず、後の「摩天楼を夢みて」と同様、仕事に押しつぶされるビジネスマンを悲劇的に演じている。
その演技力はたっぷり味わえるが、後味の悪さばかり残る作品だ。
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