大きなトリックやショッキングな設定や事件はないのですが、何だろ、この面白さは!
ヒッチコックのキャリアからいうと、中盤あたりの1950年作。
110分というサイズ感やシンプルなストーリ展開といい、安心して楽しめます。
冒頭、男性が助手席の女性に、殺人事件に
巻き込まれたことを告げる。
男の元に歌手の恋人が、「夫を殺してしまった。何とかして!」と泣きついてくるのだ。
その歌手は、マリーネ・ディートリッヒ。
この女の言いなりなんだなあ、
この恋は盲目男がどんどん巻き込まれていくお話かと思って、観ていくと、
冒頭に出た若い女性が話を引張っていく主体になる。
話の主体の変化、ヒッチコックでよくみられる話の進め方かな、
「サイコ」なんて、その最大の成功例だね
殺人事件に巻き込まれた彼(彼女の片想いだが)を助けるために、奮闘するイブ。
それに伴って、彼女の両親も登場。
特に父親は事件解決のためのワトソン的、
サポート役を果たしていき、とても面白い
イブの行動は、さらに能動的になり、
ディートリッヒのメイドになっていく。
現在のメイドや刑事たちと、個性的な役所が揃ってきて、スリリングとは違うけど、
お話や人物をゆったりと楽しむことができた。
上手いなあ〰と思ったのは、
イブの役柄、彼女は劇団の見習い、
役者の卵の前。
そんなイブが身分を隠して、メイドになって事件の核心に迫る。
現実として、「演技」することで成長していく様を見せてくれる。
そして、終盤、本当の「大役者」ディートリッヒと対決する。
「見習い」が「プロ中のプロ」と対決する!
しかも、それが、本物の舞台の袖の観客(事件関係者)に公開される。
舞台という素材をとても象徴的に魅せる(見せる)技は、さすが!だなと
思いました。
この作品後、ヒッチコックの世界はさらにステップを上げ、その舞台も劇場小屋から大劇場への昇華していきます。
休みの午後などにゆったりとお楽しみくださいませ😃