ひでG

舞台恐怖症のひでGのレビュー・感想・評価

舞台恐怖症(1950年製作の映画)
3.8
大きなトリックやショッキングな設定や事件はないのですが、何だろ、この面白さは!

ヒッチコックのキャリアからいうと、中盤あたりの1950年作。

110分というサイズ感やシンプルなストーリ展開といい、安心して楽しめます。

冒頭、男性が助手席の女性に、殺人事件に
巻き込まれたことを告げる。

男の元に歌手の恋人が、「夫を殺してしまった。何とかして!」と泣きついてくるのだ。

その歌手は、マリーネ・ディートリッヒ。
この女の言いなりなんだなあ、

この恋は盲目男がどんどん巻き込まれていくお話かと思って、観ていくと、

冒頭に出た若い女性が話を引張っていく主体になる。

話の主体の変化、ヒッチコックでよくみられる話の進め方かな、
「サイコ」なんて、その最大の成功例だね

殺人事件に巻き込まれた彼(彼女の片想いだが)を助けるために、奮闘するイブ。

それに伴って、彼女の両親も登場。
特に父親は事件解決のためのワトソン的、
サポート役を果たしていき、とても面白い

イブの行動は、さらに能動的になり、
ディートリッヒのメイドになっていく。

現在のメイドや刑事たちと、個性的な役所が揃ってきて、スリリングとは違うけど、
お話や人物をゆったりと楽しむことができた。

上手いなあ〰と思ったのは、
イブの役柄、彼女は劇団の見習い、
役者の卵の前。

そんなイブが身分を隠して、メイドになって事件の核心に迫る。

現実として、「演技」することで成長していく様を見せてくれる。

そして、終盤、本当の「大役者」ディートリッヒと対決する。

「見習い」が「プロ中のプロ」と対決する!

しかも、それが、本物の舞台の袖の観客(事件関係者)に公開される。

舞台という素材をとても象徴的に魅せる(見せる)技は、さすが!だなと
思いました。

この作品後、ヒッチコックの世界はさらにステップを上げ、その舞台も劇場小屋から大劇場への昇華していきます。

休みの午後などにゆったりとお楽しみくださいませ😃
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