垂直落下式サミング

ニンジャ II・修羅ノ章の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ニンジャ II・修羅ノ章(1983年製作の映画)
4.7
京都の金閣寺を撮した映像に「TOKYO JAPAN」と字幕が入るド頭の映像でいきなりアイエエエエ!?としめやかに失禁。たった今、ニンジャは亜空間を飛翔し、地理を超越したのだ。
前作では、悪役だったショー・コスギが好評により主役を張ることとなる見事な出世。彼が、後に日本でニンジャブラックと呼ばれることとなる実子ケインと仲好く共演したことで知られるニンジャ映画の古典であり傑作である。
愛する家族を悪のニンジャに殺された武道家のショーは、唯一生き延びた息子ケインと気心の知れた女中を連れてアメリカへ旅立つ。そこでプチアメリカンドリームを掴み武術道場と美術品店を経営するまでの起業家になるショーだったが、悪のニンジャが美術品の輸送を悪用して薬物の運搬を企んでいる事を知り怒り、持ち前の正義感から復讐に燃える。
敵は般若のシルバー・ニンジャ。目元に般若の仮面、口元をメンポで覆い隠しているのである。奴等は、その暗黒カラテのワザで、女子供まで無慈悲に殺す!なんたる卑劣非道か!冒頭の襲撃シーンから、いきなり子供の眉間にスリケンが突き刺さって倒れるさまが描かれるのは実際ショッキング。嗚呼、ブッダよ、寝ているのですか。
前作に比べて、今回は徒手空拳VS武器、武器VS武器の対決に目を見張る場面が多く、関節技や金的に目潰しなど、ショー・コスギがより実践的な武術をみせてくれる。このアクションがあからさまにスピーディ。旭日旗Tシャツのハゲをすべり台の上で執拗にボコる!関節を締め上げ、長棒でぶっ叩くサディストっぷり。汚いなさすが忍者きたない。
演じるスタントも過激なもので、強盗たちの車を追跡し、それに飛び乗り、フロントガラスを割って乗り込んで、社内の全員をジェノサイドする場面は、ジャッキー・チェンばりの生身スタントだ。
本作でショーは店を襲撃され、チンピラに絡まれ、信頼する女中を殺され、友人に裏切られ、息子を誘拐される。まさに、前門のタイガー、後門のバッファロー、そして頭上からファルコンだ。しかし、この程度ニンジャの世界ではチャメシ・インシデント。他にも、解読困難なニンジャアルファベットや、変態サディストによる金髪クノイチへの熱湯責めインタビューなど、見どころが多く実際楽しい。
最後のニンジャVSニンジャは、今回もしっかりとアイサツを交わし、ビルの屋上でやたらとバク転をしながら己が持つジツのすべてを以て「イヤーッ!」という掛け声とともに両雄が鎬を削る。近代文明に融和する黒装束のぶつかり合い。まさにエイジ・オブ・マッポーカリプス!ショギョ・ムッジョ!