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遺言シネマ殺人事件のhideharuのレビュー・感想・評価

遺言シネマ殺人事件(1978年製作の映画)
2.3
2022.01.23レンタルDVDで鑑賞。

やっとDVDになりましたがレンタルビデオでもあったのに知名度が低そうですね。レビュー数が今日現在で1桁とは。

本作は「イマージュ」とか未公開の「Score」などのエロ映画を多く残している監督ラドリーメッガーが挑んだ古典スリラーです。
原題は「The Cat & The Canary」でフィルマでも3作出てきますがもっと映像化されていて「The Old Dark House」と並ぶ古典でどちらもスリラーでありながらユーモアも含んでいるとのこと。
エンドクレジットを見ると「The Cat〜」は舞台劇が元になっているようですね。

本作はイギリスでの映画化とあってエドワードフォックス、オナーブラックマン、そして大女優ウェンディヒラーまで出演しています。そしてキャロルリンレーとオリビアハッセーが華を添えています。

上にも書きましたが元が舞台劇、そしてこれ以前に何度も映像化されているので本作がどこまでオリジナルに近いのかは知りませんがクリスティの「そして誰もいなくなった」風のスリラーですがあまり怖くもなければドギドキもなくヘンテコな笑いを狙っているのは「名探偵登場」に近いかも。

タイトルに「遺言」とあるように遺産を受け継いだ者が狙われるというよくある展開です。
冒頭1904年から始まりますが何の意味があるのかはラストまでわかりませんでした。
そして本編の舞台は1934年なのですが全然そんな雰囲気はありません。この映画が製作された1978年が舞台でも気にならないくらい。

大富豪が20年前に亡くなっていてその遺言が発表されるという下りで生前に撮影された映画に大富豪自らが出演してその中で相続人を知らせると言う辺りでの会話が30年代なんだなって感じるくらい。遺言が撮影されたのが1914年なので「同時録音なのかしら」とかそんな会話がされる。

ただし発表された相続人が翌朝までに死ぬか狂うかしていたら2本目の映画で発表する相続人に全てを与えると付け加えられた事で何かしらの事件が起こるように富豪は狙っていたみたい。

遺言が発表された後に屋敷から数キロ離れた精神病院から自分を猫だと思って鋭い鉤爪で人を切り裂く殺人犯が脱走したとそこの主任医師が伝えに来る。

その後の展開がチョッとドタバタ喜劇風で可笑しい。

ただ推理ものとしてはそんなに楽しめないです。登場人物の過去が多少は語られているものの特に怪しいと思える人物もいないし、それぞれが富豪とどう言う関係なのかもイマイチ掴めないので。

数人の登場人物が殺されるので一応はサスペンスの程を保っていますがクリスティ作品みたいな感じではないので期待しない方が良いです。
ポーレットゴダードが主演したヴァージョンが見てみたいですがやっぱりこんな感じなんですかね?
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