horahuki

遺言シネマ殺人事件のhorahukiのレビュー・感想・評価

遺言シネマ殺人事件(1978年製作の映画)
3.2
今を支配する過去からの脱却!

大富豪Sウェストの遺産を狙って集まる親族たち。開封された遺言には「ウェスト姓」の者に全財産を渡すとなっていた。ただし「精神が健全」という条件付き。唯一のウェスト姓で遺産総取りのアナベルが、ありもしない“音”が聞こえると言い出だす…。アナベルは正常?彼女の精神を貶めようとする親族の罠?

もしアナベルの精神が健全でなければ全遺産は第二の相続人に渡る。でもそれが誰なのかは第ニの遺言に記録されていて、その開封は12時間後でなければ出来ない。疑心暗鬼に陥った親族、ワンチャン自分が貰えるかも…?を狙う親族、それぞれの思惑が入り乱れた12時間の地獄が始まる…って感じの内容。死者も出るよ!

『猫とカナリヤ』の(少なくとも)4度目の映画化作品。基本的にはパウルレニの伝説的な一作目と同じような展開なのだけど、大きく違うのは遺言が文章ではなくビデオメッセージみたいな映像になってるとこ。20年前に亡くなったSウェスト(映像)と一緒にみんなで食事をしながら遺言が伝えられる…みたいな感じ。

食事メニュー自体もそれが運ばれてくるタイミングも何もかも20年前のウェストの指示通りなため、はるか昔に死んだウェストという「過去」が未だに主導権を握り、参加者全員が「過去」に支配されているように見えてくる。記録された映像という完全にこちら側が主導権を握ることのできるモノが力を持ち、時代を隔てた先で絶大な力を発揮し、現代を拘束するという、映画という媒体に対する分析でもあるわけだけど、残念ながら本作は影響力を後世にむけて全く発揮できなかったという自虐ネタになってるのがサイコーに笑える!🤣

実際にこの過去の呪縛からの脱却というのが、クライマックスで明かされる第二の遺言映像との対照性で明確になるのは良かったのだけど、オリジナルにあった諸要素を活かしたり改変してアップデートしたりするわけではなく、単に情報として入れ込んで『猫とカナリヤ』の体裁だけ整えました…的な雑な作りは、う〜ん…ってなった😅そのあたりだけ浮いてるんだよね〜😓『猫とカナリヤ』という「過去」に一番縛られてるのは製作陣なのでは?というコレまた自虐になってるのが笑う!

明日のお昼ごろまた連投するかもなのでスルーお願いします🙏
horahuki

horahuki