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デビッド・クローネンバーグのシーバースのSariのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

デヴィッド・クローネンバーグ監督の、劇場用長編映画デビュー作。日本劇場未公開作品で『SF人喰い生物の島』というタイトルでTV放映された。

それまで、アングラ作家であったクローネンバーグが、初めて手がけたホラー映画。
当時のカナダにおいてホラー映画なるジャンルが存在せず、実質カナダにおける初のホラー映画となったと監督自身が語っている。
経験的に素人監督だったクローネンバーグ。
制作期間は撮影15日、編集2日という短期で行われた。低予算で35ミリフィルム撮影のレトロな味わいはありながら、技術的な難点は感じる。不安定なカメラワークによって観る側の視点が定まり難く、物語の説明不足など、荒さと未熟さを感じる。

性的関係を持った人間が、寄生虫に取り憑かれていき、続々と住民が侵されていく様子には、ゾンビ映画のような趣きもある。
チープながら、ことに内臓描写、特殊メイクはなかなかグロテスクで、クローネンバーグの拘りと原点を見ることが出来るという点では、貴重な作品である。

ホラークイーンとして名を馳せた女優バーバラ・スティールが出演。
入浴中に寄生虫に襲われるという必見のシーンもある。


カナダの都市モントリオールにほど近い場所にある、小さなスターライナー島に、スターライナータワーと呼ばれる高級マンションが建っている。
タワーには独自のスーパーや薬局、診療所まで設備、敷地内にはテニス場やゴルフ場まであり、マンション自体がひとつの町のようであった。しかしその島で、一人の医師による恐るべき実験が行われていた。
大きな寄生虫を人間の内臓に同化させ、野性的な活力を得ようとしていたが、その結果、人体実験に使われた少女は狂暴化し、医師は自らの手で彼女を殺し、自殺した。
彼女と関係した男たちもみな寄生虫に取り憑かれ、肉体を乗っ取られていた。狂気の集団は増え続け、やがてカナダ全土に広がっていく。
 

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