ShinMakita

死者にかかってきた電話/恐怖との遭遇のShinMakitaのレビュー・感想・評価

1.8
☆復刻シネマライブラリーから廉価で出たDVDを観たシリーズ


1960年代のロンドン。内務省情報部のチャールズ・ドブスは1月3日の昼、公園でサミュエル・フェナン氏と面会した。情報部に「フェナンは共産党員だった」と密告文が届いたためだ。フェナンが外務省職員で機密にアクセスできる以上、たとえガセでも聴取はしなくてはならない。そこで気を遣い、人目のない公園で会ったのだ。密告の話を持ち出すと、フェナンは30年前の学生時代に共産党の思想にかぶれていたことを笑いながら告白。当時の大学生は、みな共産党に憧れていたのだ。ドブスも笑顔になり聴取は終了、フェナンに怪しいところ無しと報告する。しかしその夜、午後11時前にフェナンが自宅で拳銃自殺を遂げてしまった。発見者は彼の妻エルサ。現場にあった遺書は、共産主義者の濡れ衣を着せられ、失意のまま命を絶つという内容だった。笑顔で終わった聴取が、なぜフェナンを自殺に追い込んだのか?理解できないドブスは、翌朝フェナンの家を訪ねてエルサと面会する。そこで、フェナンが朝8時30分のモーニングコールをセットしていたことを知る。セットしたのは自殺時刻の直前だ。死ぬ人間が、モーニングコールを頼むわけはない。これは殺人だ。ドブスはその疑念を上司に申告するが、上司は外務省との揉め事を避けるため、自殺で処理するよう命令する。これに反発したドブスは、職を辞して勝手にフェナンの死の真相を探り始めるのだが…



「死者にかかってきた電話」



ル・カレの処女作をシドニー・ルメットが映画化したスパイ映画。ある官僚の自殺事件から、その妻が共産圏のスパイであることを掴んだ情報部員が、黒幕をあぶり出していくというストーリー。主人公ドブスはジェームズ・メイソン。エルサ役にシモーヌ・シニョレ。ドブスの元部下で妻を寝取ったディーターを演じるのはマクシミリアン・シェルです。やたら顔のアップが多いのですが、無言の顔でコミュニケーションを取る場面が多いので、効果的な演出だとわかります。

シニョレのキャラは、ナチの収容所でなんとか生き延びたユダヤ人女性という設定で、大戦後も冷たい戦争が続き平和がもたらされていないことに幻滅しています。毅然として気骨のある女性を演じたら、まさに世界一の女優ですよね。
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