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死者にかかってきた電話/恐怖との遭遇のsyuheiのレビュー・感想・評価

4.0
1967年のシドニー・ルメット監督作品。原題は"The Deadly Affair"。

英内務省捜査官ドブスは匿名の告白を受け外務省官僚フェナンの共産主義者疑惑を調査する。インタビューは問題なく終わったがその夜フェナンは自殺、原因はドプスの捜査にあったとされる。汚名を雪ぐためフェナンの身辺を洗うドブスは死後フェナン宛にかかってきたモーニングコールの電話を不審に思う。

面白味がなく妻と不和の状態にあるが腕利きの捜査官ドブスをジェームズ・メイソンが演じ、ル・カレの小説第1作を原作としたスパイもの。音楽はクインシー・ジョーンズが担当する。説明的なセリフが少なくシーンの省略もあるため物語の全容が理解しにくいが、それこそル・カレ作品の醍醐味とも言える。

中盤まで東西スパイ戦かと思わせるが、事件の真相は…。愛するがゆえの悲しき裏切り、それは妻への愛をちゃんと伝えず仕事一筋に打ち込んできたドブスと対照的。非情な結末の中にあってなお、ドブスの悲嘆が向けられていたのは…。ネタバレになるのでこれ以上は書けないが、仕事中心の人生は危ういわ。

相棒の刑事メンデルをハリー・アンドリュース、フェナンの妻をフランスの大女優シモーヌ・シニョレが演じるなど実力派ぞろい。ルメット監督ファンはもちろんル・カレ原作映画、中でも『裏切りのサーカス』が好きな人にぜひすすめたい1本。大満足。

https://x.com/syuhei/status/1728362493469487612?s=20

攻殻機動隊の新作映画が残念な出来だったので先日購入したDVDでル・カレ原作の『死者にかかってきた電話』をまた観てるが、主人公の設定はどう考えてもスマイリーなのに名前がドプスなのはなぜ?

パラマウントが1965年に『寒い国から帰ってきたスパイ』を作ったときにスマイリーという名前の利用権利を買ったらしく、それで1967年の『死者に〜』ではドブスという名前に改名したらしい。なーんだ、やっぱりスマイリーだったのね。

https://www.imdb.com/title/tt0061556/trivia/?item=tr0650616&ref_=ext_shr_lnk

https://x.com/syuhei/status/1729138973795385501?s=20
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