ぽち

H.G.ウェルズのS.F.月世界探険のぽちのレビュー・感想・評価

3.3
少年の頃に読んだ混沌無形なジュブナイルSFを思い出しほのぼの出来る作品だが、ストーリーは含みがあり考えさせられる。

ジュール・ヴェルヌの月世界旅行より40年ほど後に書かれた原作なので反重力物質や月の描写などだいぶ改善されている。
今作のたった5年後に実際に月に人が立ったと思うと驚きだ。

オチが小説と違い映画オリジナルだが、これは宇宙戦争のセルフパロディだろう。
でも個人的には絶滅ではなく、カヴォールと共に精神的に未熟な人類との接触を危惧し他の惑星に移住した・・・・・とかの方が皮肉になって良かったかな。

オープニングのシーケンスもオリジナルで、実はここが素晴らしい。
なぜか月に国旗が!こんなワクワクする設定は無い。
月にあるはずの無い物があるって言う設定から真面目にSFしていくと、あの名作小説「星を継ぐもの」になるのだろう。っていうか、ジェイムズ・P・ホーガンはこの映画からインスパイアされたのでは?

それに月のドームが開くところ、これって「2001年~」とまったく同じ。キューブリック監督パクっちゃったかな?

最大の観所はなんと言ってもハリー・ハウゼンのクリーチャー。蟻人間も巨大芋虫も素晴らしい。外骨格の芋虫の骸骨を創造できるのが凄い。
そして月着陸船の足のサスペンションにハウゼンのSF魂を見た。

コメディ色が強くマッタリとした演出と話のスピードだが、観方を知っていればかなりテンションを上げて楽しめる作品。
ぽち

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